"社会への発信"カテゴリーの記事一覧
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医療の情報化のための共通基盤の整備における画像や器機の規格に関しては,規制緩和を進め,安価な汎用品の利用に道を開くべき.
システムや器機の規格について一般的に医療用の材料や製品は,汎用品に比べて高価である.理由は様々であり,詳細は割愛するが,大きな問題として,「必要以上の性能を規格として採用している」部分がある.現在医療画像の中心となっているCT, MRI等の画像情報はビットマップデータとして生成されている.これらのデータは,通常用いられるTIFF, JPEG等の画像データを汎用モニターで再生しても医療に耐えうる.医学領域の学会発表で使用される画像はこれらであり,十分医学的な議論が行われている.現在使用されているCT, MRI器機で撮影された画像をJPEGで保存し,通常のモニター画面で再現したものは,過去の器機で撮影された画像をDICOM規格で保存し,精細モニターで再現したものより数段明瞭である. ITに関する画像や器機の規格に関しては,規制緩和を進め,安価な汎用品の利用を促進すべきであると考える.現在は、薬事法にて特に医用画像を扱う機器について、不要なまでの厳しい機器要件が設定されており、全くの無駄なコストが必要になっている。例えば、一昔前の薬事法で認可されていた機器と同等以上の性能の機器であるにも関わらず、「認可」された機器でなければ、薬事法には適合しないことになる。さらに、保険医療における制限はさらに厳しい。そのため、地域中核病院(もしくは大学病院)に勤務している医師が離島へき地の医師を支援したくとも、「薬事法に適合した機器を利用した支援でなければ点数が算定出来ない」、「ネットワークがISDNしか存在しないため、薬事法で規定するDICOMの画像では転送に時間がかかり、緊急の要請に答えられない。」等の問題が発生し、結果として中核病院(大学病院)側は無料奉仕にならざるを得ない。これではとても遠隔医療支援が広まるとは思えない。遠隔医療は、画像診断だけではなく、遠隔医療相談も行われる。つまり、高精細なX線画像に何が写っているかを見極めることだけが重要なわけではない。依頼がある場合、現地の医師は、そこに何が写っているかは分かっていることが殆どであり、手術(受け入れ)の可否や治療方針に関する問い合わせが主となる。したがって画像の質については、具体的な数値的な基準を設け、過度の認可制を撤廃すべきである。
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病院内、地域内の医療情報システムの構築及びその相互接続の推進には電子カルテや検査機器メーカーへのデジタルデータ出力促進政策が必要である.(イ) 地域における医療機関間の情報連携の支援・促進(総務省、文部科学省、厚生労働省及び経済産業省) PKG医療データのデジタル化情報の提供についてユビキタスカルテに記録される情報は一般の医療施設で作成される訳であるから,医療施設の診療室,検査機器で発生する情報を速やかにデジタル情報に変換できなくては,ユビキタスカルテの実現は困難である.個々の医療施設の電子カルテを広域利用に広げることは現実的でないので,ユビキタスカルテは,各医療施設で利用される電子カルテや画像サーバから医療情報を受け取る事になる.そのためには,各社各様で作成されている電子カルテや画像サーバがファイヤーウォールなどのセキュリティ対策を施した上で,インターネットに接続されることが望ましい.一般的に電子カルテや画像サーバのメーカーは,インターネットへの接続を望まないが,ユビキタスカルテへの情報出力がスムーズに進まなければ,ユビキタスカルテは実用にならない.電子カルテや画像サーバのメーカーに対して,インターネット環境へのデータ出力を促進させる技術的,政策的な指導も重要であると考えられる.
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病院内、地域内の医療情報システムの構築及びその相互接続の推進にはブロードバンドの導入促進政策が必要である.通信網の整備と医療データのデジタル化情報の提供について現在インターネットによるブロードバンドが普及しつつあるが,未だに中小の医療施設でのブロードバンド普及は十分ではない.またユビキタスカルテに記録される情報は一般の医療施設で作成される訳であるから,医療施設の診療室,検査機器で発生する情報を速やかに登録できなくては,ユビキタスカルテの実現は困難である.離島へき地の医療を担う医師を支援する為に、離島へき地においても、公衆無線LANが安価に利用でき、医療連携等に活用できるような施策や、遠隔医療連携を実施する医療機関に対するネットワーク回線維持費の補助についても検討いただきたい.
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医療の情報化のための共通基盤の整備においては,「氏名」「住所」「電話番号」といった個人特定情報を持たないシステムとする選択枝を考慮しても良い.
閉域IP網やVPNでどんなに対象を絞っても、連携する医療機関数が増えると、情報漏洩の危険は増える。何れの原因にしろ,ネットワーク上のデータには漏洩の可能性があるので,その対策は考えておく必要がある.また,このようなユビキタスカルテシステムを利用するか否かは,リスクを伴うので,個人の選択に委ねられるべきである.ウェブシステムの利用を希望しない国民の選択の自由は残すべきである.インターネットショッピングもインターネットバンキングやインターネット証券取引も,そのシステムを取り扱う能力を持ち,その使用に意義を見いだす者が利用している.「JNSA 2007 年 情報セキュリティインシデントに関する調査報告書」によると,個人情報漏洩に対する損害評価として,次の式が与えられている.想定損害賠償額 = 漏えい個人情報価値× 情報漏えい元組織の社会的責任度× 事後対応評価漏えい個人情報価値 = 基礎情報価値×機微情報度×本人特定容易度ここで,本人特定容易度として,・ 個人を簡単に特定可能(「氏名」「住所」が含まれること:本人特定容易度6)・コストをかければ個人が特定できる(「氏名」または「住所 + 電話番号」が含まれること:本人特定容易度3)・特定困難(上記以外:本人特定容易度1)が示されている.これを参考にするならば,ウェブシステム上のユビキタスカルテは「氏名」「住所」「電話番号」といった個人特定情報を持たないシステムとする選択枝を考慮しても良いと思われる.
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医療の情報化のための共通基盤の整備においては,どのデータをどの利用者が扱えるのか,ということを安全に,効率的に実現する仕組み(アクセス権管理)が必須である.医療の情報化のための共通基盤(ユビキタスカルテ)を通信ネットワーク上に構築する場合,情報漏洩が危惧される.「JNSA 2007 年 情報セキュリティインシデントに関する調査報告書」によると,個人情報漏洩の主な原因は、「紛失・置忘れ」が20.5%、「管理ミス」が20.4%、「誤操作」が18.2%、「盗難」が16.6%、「ワーム・ウイルス」が8.3%、「不正な情報持ち出し」が7.9%となっている.特に,大規模な情報漏洩はトップ5は「管理ミス」「内部犯罪・内部不正行為」によるもので,これらは共に権限を持った内部関係者による行為である.一方,外部の第三者が主にネットワークを経由して不正にアクセスを行って情報が漏洩する不正アクセスは0.8%である.これらが意味するところ,ユビキタスカルテを構築する場合に重要な事は,専用通信網の構築や認証や暗号化の問題より,権限を持った内部関係者の管理である.現状では,一般のインターネット(SSL暗号化)で金融取引やショッピングが行われており,パスワードの盗難やフィッシング詐欺など,正規利用者の人為的な利用上の問題を除けば,通信傍受やシステムの脆弱性を利用したハッキングは喧伝されるほど多くはない.ユビキタスカルテに求める通信のセキュリティとしては,SSL暗号化通信が行われておれば,それ以上の専用通信網の構築に投資する必要性は薄いと思われる.出張中の専門医との連携、専門医が自宅待機している場合の連携、患者や、その家族との連携まで考えると、閉域IP網やVPNによるセキュリティ担保は現実的ではない。ところが,権限を持った内部関係者による行為に相当する問題点は,電子カルテに於いては大きい.個人医療データを取り扱う医療従事者がカルテには必然であり,これら医療従事者は,“権限を持った内部関係者”となるからである.一般的に病院内で行われているような医療従事者としてログインすれば,全ての患者情報を見ることができる電子カルテシステムでは,プライバシーの保護が困難となり,ユビキタスカルテは実現できない.どのデータをどの利用者が扱えるのか,ということを安全に,効率的に実現する仕組み(アクセス権管理)が必須となる.この点に関しては,一部の医療従事者や医療情報関係者が指摘しているが,一般的には認識が薄い.ウェブシステムでユビキタスカルテを作るためにはアクセス権管理のロジックが無くては,患者と医療従事者が共に安全かつ効率的に利用できるユビキタスカルテは実現されない.
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首相官邸のホームページにIT戦略本部による「重点計画-2008(案)」が掲載され,パブリックコメントの募集がありました.本日正午が締め切りでしたが,ぎりぎりで何とか意見を送りました.それをこの場に掲載します.
生涯を通じた自らの健康管理とレセプト完全オンライン化について
生涯を通じた自らの健康管理とレセプト完全オンライン化の二つの項目は,独立した別々のシステムとする事が望ましい.
生涯を通じた自らの健康管理とレセプト完全オンライン化の二つの項目は,独立して扱われるべき事であると考えられる.生涯を通じた自らの健康管理は,個人がコントロールできる自分のカルテを持つことであり,レセプト完全オンライン化は医療施設と医療保険の間の効率化の問題である.
進歩する医療の中で医療保険は,対象とする医療内容を頻繁に変更せざるを得ない.また,地域の特性によるローカルルールがあり,社会現象に伴う一時的な例外処理を行うこともある.かつ,患者から見れば他人に開示するものではない.つまり,レセプトはその性質として,時間的空間的特殊性と閉鎖性をもつ.
一方,個人がコントロールできる自分のカルテは,何時でも何処でも自分の医療情報を確認でき,必要に応じて医療従事者に提供できなくてはならない.場合によっては,医療従事者間のコミュニケーションも必要になる.つまり時間的空間的な共有と安全な手段による開示性を目指すもの(ユビキタスカルテ)である.
現在の病院内電子カルテは,レセプト処理(a)と患者個人の医療情報の保管(b)という二つの事を行っている.病院内電子カルテに後者(b)が存在することは病院内完結である限り問題はない.しかし,その延長として両者を同じシステムに包含したままで広域に広げることは,レセプトとユビキタスカルテの目標の質が異るため,問題が多く,効率的でない.